世田谷の崖線沿いで、擁壁のある家を買う前に。見た目では分からない検査済みの有無
国分寺崖線に沿った岡本・成城・上野毛・等々力には、眺めの良い高台の土地があります。その土地を支える擁壁は、検査の記録が無いと建て替えのときに造り直しを求められることがあります。東京都のがけの決まりと、買う前の確かめ方をまとめました。
世田谷の南西には、国分寺崖線と呼ばれる高低差の帯が続いています。成城、岡本、瀬田、上野毛、等々力のあたりです。緑が多く、高台からの眺めが良いので、この地形に惹かれる方も少なくありません。
こうした土地には、斜面を支えるコンクリートや石の壁があります。擁壁(ようへき)です。擁壁は、家より先に寿命が来ることがあり、造り直すと費用が千万円単位になることもあります。 株式会社BATONは世田谷区宮坂で売買のご相談を受けてきました。買う前に見るところを書きます。
なぜ擁壁が問題になるのか
東京都のがけの決まり
東京都建築安全条例6条は、高さ2mを超えるがけの近くに建物を建てるときの決まりを置いています。がけの下端から、がけの高さの2倍以内の範囲に建てる場合は、原則として擁壁が要ります。
たとえば高さ3mのがけなら、6m以内が対象です。がけの上の土地でも下の土地でも、距離によって建て方の制限がかかります。斜面の角度が30度以下の場合など、安全上の支障が無いと認められるときは緩和があります。
古い擁壁は「安全な擁壁」に数えられないことがある
ここが一番の注意点です。今の家が問題なく建っていても、建て替えのときに、今ある擁壁が安全と認められないと、造り直しや、建物の基礎を深くする工事を求められることがあります。
判断の手がかりになるのが検査済証です。高さ2mを超える擁壁は、築造に確認の手続きが要ります。宅地造成の許可や開発許可の検査済証がある擁壁は、安全の裏付けになります。古い擁壁には、書類が残っていないものが多くあります。
目で見て分かること
- 石の積み方。 大谷石の積み上げや、石を積んだだけの空石積みは、古い時代のものです
- 増し積み。 古い擁壁の上にブロックを積み足した形は、荷重に耐える計算がされていないことがあります
- 水抜き穴。 壁の中の水を逃がす穴です。穴が無い、詰まっている擁壁は、水の圧力が溜まります
- ひび割れ、ふくらみ、傾き。 大きなひびや、中央のふくらみは、専門家に見てもらう理由になります
見た目がきれいでも、内部の鉄筋や裏込めは見えません。目視で分かるのは、悪い兆しがあるかどうかまでです。
買う前に確かめること
書類
世田谷区の窓口で、擁壁の確認や検査の記録が残っているかを調べます。売主に、造った時期と工事の資料を尋ねてください。
擁壁の持ち主
擁壁が自分の土地の中にあるのか、隣の土地なのか、境界の上なのかを確かめます。隣の土地を支えている擁壁は、造り直すときに隣の方との話し合いが要ります。 測量図で境界の位置を見てください(境界と測量)。
区域の指定
斜面の近くは、土砂災害警戒区域に指定されていることがあります。世田谷区内にも指定があり、特別警戒区域では建築に制限がかかります。宅地造成及び特定盛土等規制法(2023年5月26日施行)の規制にかかることもあります。ハザードマップと重要事項説明書で確かめてください(世田谷のハザードマップの読み方)。
費用の見込み
擁壁の造り直しの費用は、高さと長さ、工事車両が入れるかで大きく変わります。数百万円から、条件によっては1,000万円を超えることもあります。 崖線沿いは道が細く、重機が入りにくい土地もあります。気になる土地は、契約の前に建築士や工事会社の意見を聞いてください。
ローンと売るとき
金融機関によっては、擁壁に不安のある土地の担保評価を低く見ることがあります。事前審査が通っていても、物件を決めたら改めて通してください(事前審査から融資実行まで)。
売るときも、次の買主は同じことを確かめます。安く買えたとしても、そのぶん売るときの価格も伸びにくいと考えておいてください。
正直に申し上げると
- 高台の眺めと緑は、お金で替えられない良さがあります。 擁壁があるから避けるべき、というお話ではありません。費用と手間を知ったうえで、価値があると判断される方もいらっしゃいます
- 擁壁を造り直さずに、基礎を深くする方法で建て替えられることもあります。やり方は土地ごとに異なります
- 検査済証が無い擁壁が、そのまま危険という意味ではありません。ただ、安全であることを示す書類が無い状態です
- 擁壁の安全性の判断は建築士に、建築の可否は世田谷区の建築の窓口にご確認ください
まとめ
検査済証の有無、擁壁の持ち主、造り直しの費用。この3つを契約の前に調べると、高台の土地の値段が理由のあるものとして読めます。 崖線沿いの街の暮らしは等々力・尾山台・上野毛で暮らすにまとめました。
気になる土地の擁壁について、窓口での調査から一緒に進めることもできます(不動産購入・物件探し)。
この記事は株式会社BATONが作成しています。個別のご事情については、お問い合わせフォームまたはLINEからお気軽にご相談ください。