世田谷の土地を売る前に。境界と測量でつまずかないために
境界標が見当たらない、ブロック塀が越えている、地積測量図が古い。世田谷の住宅地でよくある境界の問題と、売り出す前に確認しておきたいことをまとめました。
売却の相談を受けて、最初に登記簿と一緒に確認するのが境界です。
ここが未確定のまま売り出すと、買主が決まってから測量に入ることになり、隣地の方のご都合次第で引渡しが数か月ずれることがあります。世田谷は昭和期に分譲された住宅地と、農地から宅地に変わった土地が混ざっていて、境界の資料が揃っていない土地が少なくありません。
売ると決めた段階でやっておきたいことを整理します。
まず、境界標があるかを見る
敷地の四隅を見てください。金属のプレート、コンクリートの杭、鋲。これが境界標です。
- 見当たらない — 工事や植栽で失われていることがあります
- あるが、ブロック塀の下に埋まっている
- あるが、位置が塀や擁壁とずれている
3つ目がいちばん厄介です。塀を境界だと思って何十年も過ごしてこられたのに、実際の境界線は塀の内側だった、あるいは外側だった、ということが起こります。
測量図の3種類
お手元の書類に「測量図」があっても、種類によって意味が違います。
現況測量図
今ある塀やフェンスをそのまま測ったもの。隣地の方の立会いを経ていないため、境界の証明にはなりません。作成は比較的早く、費用も抑えられます。
地積測量図
法務局に備え付けられている図面です。ただし作成された年代によって精度が大きく違います。昭和期のものは現在の基準と異なる方法で作られていることがあり、そのままでは使えない場合があります。あるから安心、とは限りません。
確定測量図
隣地の所有者、および道路や水路に接する場合は行政と立ち会って、境界を確認したうえで作成する図面です。**売買で求められるのは通常これです。**筆界確認書という書面を、隣地の方それぞれから頂戴します。
確定測量に時間がかかる理由
土地家屋調査士が測ること自体は数日で終わります。時間がかかるのは、人と会う工程です。
- 隣地の所有者の方に連絡を取り、立会いの日程を調整する
- 隣地が相続で名義が変わっていない場合、誰が所有者かを確認するところから始まる
- 隣地の方が遠方にお住まいの場合、日程が組みにくい
- 道路や水路に接している場合、行政との境界確認(官民境界)が必要になる
官民境界が絡むと、申請から確定まで数か月かかることがあります。引渡し日を決めてから着手したのでは、まず間に合いません。
費用は土地の形状や隣地の数によりますが、確定測量で数十万円、官民境界を含むとさらに増えます。売主が負担するのが一般的です。
越境をどう扱うか
境界が確定すると、越境が見つかることがあります。世田谷でよくあるのは次のようなものです。
- ブロック塀や擁壁が、境界線をまたいでいる
- 屋根の庇や雨樋が、隣地側にはみ出している
- 樹木の枝が越えている
- 給排水管が隣地の下を通っている
**越境があるから売れない、ということはありません。**通常は「越境の覚書」を交わし、現状のままとするが、将来建て替えるときには解消する、という取り決めを書面にします。これを買主に引き継ぐ形です。
なお隣地から伸びてきた枝については、2023年4月1日に施行された民法の改正で扱いが変わりました。改正民法第233条により、竹木の所有者に催告しても切除しない場合など一定の要件を満たすときは、越境された側が自ら切り取ることができるようになっています。ただし要件がありますので、実行の前にご相談ください。
私道に接している場合
世田谷の住宅地では、前面道路が私道であることが珍しくありません。かつての分譲地で、道路部分を各所有者が分けて持っている、という形です。
この場合、境界の確認に加えて次の点が問題になります。
- 私道の持分があるか — 持分がないと、建て替えのときに通行や掘削の承諾が必要になります
- 掘削承諾を得られるか — 給排水管の引き直しやガス管の工事のため、私道を掘る許可です。共有者全員の承諾書を求められることがあります
- 共有者が何人いて、連絡が付くか — 相続で名義が変わっていない、所有者が転居して不明、というケースがあります
買主が住宅ローンを組む際、金融機関から掘削承諾書の提出を求められることがあります。承諾が取れないと融資が下りず、契約が白紙になることもあります(接道と再建築不可)。
私道に接している場合は、売り出す前に持分の有無と共有者の状況を確認しておいてください。登記簿を取れば持分は分かります。共有者への連絡は時間がかかる部分ですので、早く動くほど余裕が生まれます。
隣地との関係は、売主にしか作れない
測量の立会いをお願いするとき、話をしやすいのは、長くそこに住んでこられた売主の方です。不動産会社や土地家屋調査士が突然訪ねるより、「家を売ることになりまして」とひと言添えていただけるほうが、話が進みます。
町会やご近所づきあいのある世田谷では、この一手間が効きます。逆に、相続で遠方から手続きをされる場合、ここがいちばん時間のかかる部分になります。
売り出す前にできること
- 敷地の四隅を見て、境界標があるかを確認する
- 権利証や図面の入った封筒を探し、測量図があるかを見る
- 法務局で地積測量図の有無を調べる(オンラインでも取得できます)
- 隣地との塀が、どちら側の所有かを思い出せる範囲で整理しておく
この4つが分かっていれば、売り出しまでにどれだけ時間が要るかの見当が付きます。BATONでは査定の段階でここを確認し、測量が必要そうであれば、その期間と費用も含めて手取りの見込みをお出ししています(売却にかかる費用)。
この記事は株式会社BATONが作成しています。個別のご事情については、お問い合わせフォームまたはLINEからお気軽にご相談ください。