親の土地に家を建てる・二世帯にする。世田谷で決める前に知っておくこと
親の土地を無償で借りて家を建てても、借地権相当額の贈与にはなりません(昭和48年11月1日付 直資2-189)。ただし相続のときの評価と、小規模宅地等の特例の使い方は、建てる前の決め方で変わります。登記の形と、きょうだいのことまで整理しました。
世田谷区で家を買おうとすると、価格の壁にぶつかります。そこで出てくるのが、ご実家の土地に建てるという選択肢です。
親御さんの土地が世田谷にあるなら、有力な案です。ただ、建ててしまってからでは直せないことがいくつかあります。決める前に知っておいていただきたい点を整理します。
無償で借りても、贈与税はかかりません
まず、多くの方が心配される点から。
親の土地を無償で借りて、そこに子が家を建てる。これは使用貸借といいます。このとき、借地権に相当する利益をもらったとして贈与税がかかるのではないか、と思われがちですが、そうはなりません。
国税庁の通達(昭和48年11月1日付 直資2-189「使用貸借に係る土地についての相続税及び贈与税の取扱いについて」)で、使用貸借による土地を使用する権利の価額はゼロとして取り扱うと定められています。
- 地代を払わないこと自体は、問題になりません
- ただし、固定資産税相当額を超える地代を払うと、使用貸借ではなくなる場合があります
- 親が借りている土地(借地)に子が建てる場合は、別の手続きが要ります
相続のときは「更地」として評価されます
使用貸借にはもう一つの面があります。
相続税の計算では、その土地は自用地として評価されます。 つまり、他人に貸している土地のような評価の減額はありません。子が家を建てていても、更地と同じ評価です。
ここで効いてくるのが、次の特例です。
小規模宅地等の特例と、登記の形
小規模宅地等の特例(租税特別措置法69条の4)は、被相続人が住んでいた宅地について、330平方メートルまで評価額を80%減らせる制度です。世田谷区の地価を考えると、使えるかどうかで税額が大きく変わります。
二世帯住宅を建てる場合、建てる前に決めなければならないことがあります。建物の登記の形です。
| 登記の形 | 特例の扱い |
|---|---|
| 1棟の建物として登記(単独・共有) | 内部で行き来できない構造でも、同居として扱われます |
| 区分所有登記 | 親が住んでいた部分に対応する宅地分しか対象になりません |
平成25年度の税制改正により、平成26年1月1日以後の相続から、構造上分離された二世帯住宅でも、1棟の建物として登記されていれば同居として特例を使えるようになりました。
逆に言えば、区分所有登記にすると使える範囲が狭まります。 玄関を分ける、内部でつながらない設計にする、といった建物の作り方の話ではなく、登記をどうするかの話です。
建ててから登記を変えるのは、費用も手間もかかります。ハウスメーカーとの打ち合わせの早い段階で、税理士に確認してください。
きょうだいのことを、先に話してください
税の話より、実際にもめるのはこちらです。
親の土地に、子のうち一人が家を建てる。その土地は、相続のときに遺産分割の対象になります。 家を建てた子がそのまま土地を引き継ぐなら、他のきょうだいに渡す財産が必要です。
世田谷区の土地は評価が高いので、土地以外の財産では釣り合わないことがよくあります。 その結果、建てた家を売らなければならない、という話になりかねません。
避けるためにできることがあります。
- 建てる前に、きょうだい全員に話しておく。 後から知ると、感情の問題になります
- 親御さんに遺言書を書いてもらう。 どう分けたいかを、親の言葉で残す(遺言書の3つの形と、法務局に預ける制度)
- 土地以外の財産の状況を、先に把握しておく
きょうだいで分けるときの考え方は世田谷の実家を兄弟で分けるにまとめました。
建てられる土地かどうかも確かめてください
税とは別に、建築の側の確認も要ります。
- 敷地が道路に接しているか。 接道が足りないと建てられません(世田谷の細い道と再建築不可)
- 建ぺい率と容積率。 既にある母屋を残す場合、敷地全体で計算します
- 土地を分ける(分筆する)必要があるか。分け方によっては、片方が建てられなくなります
世田谷区には細い道に面した敷地が多く、母屋を残したまま建てられるかどうかは、現地を見ないと分かりません。
正直に申し上げると、売るときには買い手が限られます
二世帯住宅は、その家族のために作った家です。同じ形の暮らしを求める買主は多くありません。
将来売る可能性があるなら、間取りをできるだけ普通の形にしておくほうが選択肢は残ります。玄関を2つにする、水回りを2組にする。どれも暮らしには効きますが、売るときには買い手を選びます。
住み続ける前提なら、それで構いません。ただ、「売れにくい」という事実は知ったうえで決めてください。
まとめ
- 親の土地を無償で借りて建てても、贈与税はかかりません(昭和48年11月1日付 直資2-189)
- 相続のときは自用地評価になります
- 二世帯住宅は、区分所有登記にすると小規模宅地等の特例の使える範囲が狭まります
- きょうだいへの説明と、遺言書の準備を先に
制度の適用は個別の事情で変わります。税の判断は税理士、登記は司法書士にご確認ください。 土地が建てられる状態かどうかの確認や、将来売るときの見通しは相続・空き家のご相談から承ります。
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