世田谷で家を売るときの査定額の見方。なぜ会社ごとに金額が違うのか
3社に査定を頼んだら3つとも違う金額だった——よくあるお話です。査定額は「売れる価格」ではなく「売り出しの提案」で、高いほど良いとは限りません。世田谷で家を売る前に、数字の根拠をどう確かめるかをまとめました。
査定を数社に依頼すると、金額はまず揃いません。世田谷区の戸建てやマンションなら、500万円以上ひらくことも珍しくありません。このとき「いちばん高い会社」を選ぶ決め方が、いちばん損をしやすいというのが、地元で仲介を続けてきた実感です。理由と、数字の確かめ方をまとめます。
査定額は「売れる価格」ではなく「売り出しの提案」
査定額は、その会社が「この価格で売り出しましょう」と考えた提案です。成約を保証する数字ではありません。
住まいの査定には、近隣の成約事例と比べる取引事例比較法、建て直したらいくらかかるかから考える原価法、貸したときの収益から考える収益還元法があります。世田谷区の一戸建て・マンションでは、ふつう取引事例比較法が中心になります。
つまり、どの事例を「近い」と見るかで金額は動きます。 同じ町丁目でも、築年・面積・階数・向き・道路付けのどれを重く見るかは会社の判断です。金額がひらくこと自体は、おかしなことではありません。
「高い査定額」が売主を消耗させる仕組み
問題は、金額が契約を取るための数字になっているときです。
媒介契約を取りたい会社ほど、高い数字を出す動機があります。契約後に「反響がないので下げましょう」と何度も価格を下げていく——この流れは売主にとって消耗ですし、結果として、下げた後の価格は最初から適正価格で出した場合より安くなりがちです。長く売れ残った物件は、買主から「何かあるのでは」と見られるためです(媒介契約の選び方)。
不動産ポータルサイトの掲載期間は買主にも見えています。値下げの履歴は、そのまま交渉の材料になります。
査定書で必ず確かめる4つのこと
見るべきは金額そのものではなく、その金額の出どころです。次の4つを聞いてみてください。
- どの成約事例と比べたのか(所在・築年・面積・階数・向き・成約時期)
- なぜその事例が比較対象になるのか
- その価格で、どのくらいの期間での成約を見込んでいるのか
- 売れなかったときに、いつ・どのくらい下げる想定なのか
根拠を説明できる会社なら、価格を下げる提案が出てきたときも理由が分かります。逆に「相場的にこれくらいです」で終わる説明は、後から検証のしようがありません。
なお、机上査定(簡易査定)は資料だけで出す概算です。実際に売り出す価格を決める段階では、訪問査定を受けてください。 室内の状態、越境や境界の状況、接道は、現地を見ないと分かりません。
世田谷は「データだけでは出ない差」が大きい
世田谷区は、駅からの距離が同じでも価格が変わりやすい地域です。
- 学区。希望の小学校区かどうかで問い合わせの数が変わります
- 道路付けと接道。再建築ができるか、車が入れるか。世田谷区には幅員4mに満たない道路(いわゆる2項道路)に接する敷地が多く、セットバックの有無で使える面積が変わります
- 用途地域。区内は第一種低層住居専用地域が広く、建ぺい率・容積率や高さの制限で、同じ広さの土地でも建てられる建物が変わります
- 坂。地図上の徒歩分数と、実際に歩いた体感が合わないことがあります
- 商店街との距離、日当たり、隣地の建ち方
こうした要素は成約データの表には出てきません。その街を歩いて知っているかどうかが、そのまま査定の精度に出ます。
媒介契約は3種類。報告の頻度が法律で決まっている
査定の次は媒介契約です。ここは好みではなく、義務の重さが違います(宅地建物取引業法第34条の2、同法施行規則)。
| 種類 | 他社への依頼 | 業務報告 | レインズ(指定流通機構)への登録 |
|---|---|---|---|
| 一般媒介 | できる | 法律上の定めなし | 義務なし |
| 専任媒介 | できない | 2週間に1回以上 | 契約日から7日以内(休業日を除く) |
| 専属専任媒介 | できない | 1週間に1回以上 | 契約日から5日以内(休業日を除く) |
専任・専属専任の契約期間は3か月以内と定められています。「報告が来ない」「レインズに載っていない」は、契約違反かどうかの話です。登録すると発行される登録証明書は、必ず受け取って保管してください。
手元に残る金額まで見て、初めて判断できる
査定のときに一緒に確かめておきたいのが、売却価格ではなく手元に残る金額です。
売却価格からは、仲介手数料・登記費用(抵当権抹消など)・印紙税・測量や解体の費用・引っ越し代、そして利益が出た場合の譲渡所得税が差し引かれます。住み替えなら次の住まいの費用も重なります(売却にかかる費用)。
- 売却価格ではなく、手取りはいくらか
- 住み替え後、毎月の支払いはどう変わるのか
- その資金で、老後の生活は何年ぶんまかなえるのか
税金には特例もあります。たとえばご自身が住んでいた家を売る場合の「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除」(租税特別措置法第35条)などです。ただし適用の可否は個別の事情で変わります。最終的な判断は必ず税理士にご確認ください。
BATONは代表自身が2級FP技能士です。査定と同時に、この資金計画のシミュレーションを無料でお作りしています。仲介手数料の中に含まれており、別途費用はいただきません。
「今は売らない」という結論もあります
シミュレーションの結果、保有や賃貸のほうが有利と分かることもあります。そのときは正直にそうお伝えします。売却をお引き止めすることもあります。
相続した実家をどうするかで迷っている場合は、名義の確認が先になることもあります(相続登記の義務化については別の記事にまとめました)。
売上のノルマを追う立場ではないからこそ、できることだと考えています。売却のご相談についてもあわせてご覧ください。
まずは今の価値を知るところから。査定だけのご依頼でも構いません。
この記事は株式会社BATONが作成しています。個別のご事情については、お問い合わせフォームまたはLINEからお気軽にご相談ください。