世田谷で家を売る・買う前に。金利・空き家・中古市場の変化をどう読むか
金利、建築費、中古へのシフト、省エネ性能。すでに起きている変化のうち、世田谷で家を持っている方・買う方の判断に効くものを4つに絞りました。売り時を当てるより、手元の数字を固めるほうが確実です。

「今は売り時ですか」「もう少し待ったほうがいいですか」。世田谷でいちばん多くいただくご質問です。市場全体の予想を当てることはできませんが、すでに起きている変化のうち、世田谷で家を持っている方・買う方の判断に直接効くものは絞り込めます。4つに整理しました。
1. 金利。「変動だから安い」の前提が変わりつつある
長く続いた超低金利は転換期に入り、住宅ローン金利は上昇する局面がありました。今後の動きは誰にも断言できませんが、判断の前提を変えておく必要はあります。
- 買う方……変動金利で組む場合、今の返済額ではなく、金利が上がったときの返済額で無理がないかを試算しておく。借入可能額いっぱいで組むと、上昇局面で余裕がなくなります
- 売る方……金利が上がると、買主が借りられる額は下がります。同じ価格でも買える人の数が減るということです。売り出し価格の設定に効いてきます
2. 新築が高い。だから中古が選ばれています
資材費・物流費・人件費の上昇で、建築コストは高止まりしています。新築の価格が下がりにくい一方、購入する側の収入が同じだけ増えるわけではありません。
世田谷区はもともと新築の供給が限られた地域です。まとまった土地が出にくく、第一種低層住居専用地域が広いため大きな建物も建てられません。結果として、取引の中心は中古になります。
売る側にとっては、これは追い風です。手入れされた中古は、買い手から見て現実的な選択肢になっています。
3. 「築20年で価値ゼロ」ではなくなってきた
かつて日本の住宅は、築20年ほどで建物の価値をゼロと見る慣行がありました。ここは変わりつつあります。
背景のひとつがインスペクション(建物状況調査)です。2018年4月1日に施行された改正宅地建物取引業法で、宅建業者は媒介契約のときに「調査を行う業者をあっせんできるか」を書面で示すことが義務づけられました。
- 売る方……調査を受けて問題がなければ、それは価格の裏付けになります。既存住宅売買瑕疵保険を付けられる場合もあります
- 買う方……調査は買主側からも依頼できます。数万円で、購入後の数百万円を避けられることがあります
「古いから価値がない」ではなく、手入れの記録がある家が正当に評価される方向に動いています。リフォームの領収書や図面は、捨てずに取っておいてください(リノベーションと価値の関係)。
4. 省エネ性能が、価格に効き始めています
2025年4月1日から、原則としてすべての新築住宅に省エネ基準への適合が義務づけられました(改正建築物省エネ法)。また2024年4月からは、不動産の広告に省エネ性能を表示する制度が始まっています。
これは新築の話ですが、中古にも間接的に効きます。 基準を満たさない古い住宅は、比べられたときに不利になっていくと考えられます。
- 売る方……断熱性能を上げる工事は費用が大きく、売る前に全部やる必要はありません。 ただし窓まわりの改善は、費用に対して見た目と体感の効果が大きい部分です
- 買う方……冬の寒さは、住んでから直すのがいちばん高くつきます。 内見のときにサッシと窓ガラス(単板か複層か)を必ず見てください
空き家は、地方だけの話ではありません
全国の空き家は約900万戸、空き家率13.8%(総務省・令和5年住宅・土地統計調査)。世田谷区でも、相続したまま誰も住んでいない家は珍しくありません(買取と仲介の比べ方)。
2023年12月13日施行の改正空家等対策特別措置法で、管理が不十分な空き家は固定資産税の住宅用地特例から外れることがあります。「持っているだけ」の費用は上がる方向です(空き家を放置したときの費用)。
業界の側の変化と、変わらないもの
不動産業界は長く「対面・書面・押印」の世界でしたが、2022年5月18日施行の改正宅地建物取引業法で契約書面の電子化が全面的に認められ、オンラインでの重要事項説明も一般的になりました。AIによる価格査定やVR内見も広く使われています。
情報の差は、確実に縮まりました。 相場も成約事例も、以前より調べやすくなっています。
それでも縮まらないものが2つあります。
ひとつは、街の情報です。 どの道が夜暗いか、どの坂が自転車でつらいか、どの学区が人気か、どの通りが雨に弱いか。これは数字になっていません。
もうひとつは、営業の姿勢です。 「今日決めないと他で決まります」「今ならお得です」と急かす手法は、いまだに残っています。焦らせる言葉が出てきたら、いったん止まってください。 見極め方は別の記事にまとめました(不動産会社の見極め方)。
世田谷で判断するときの順番
市場の予想を当てようとするより、手元の数字を先に固めるほうが確実です。
- 今いくらで売れそうかを知る(査定額の見方)
- そこから諸費用と税を引いた手取りを出す
- 住み替えるなら、新しい住まいの毎月の支払いを金利が上がった前提で試算する
- そのうえで、売る・貸す・持ち続けるを同じ紙の上で比べる
BATONは代表が2級FP技能士で、この比較を無料でお作りしています。「今は売らない」という結論になれば、そうお伝えします。 売上のノルマを追う体制ではないので、それができます。
売却のご相談は、迷っている段階からで構いません。
この記事は2026年8月時点の情報に基づく整理です。金利や制度は変わります。税や資金の個別の判断は、税理士・金融機関にもご確認ください。
この記事は株式会社BATONが作成しています。個別のご事情については、お問い合わせフォームまたはLINEからお気軽にご相談ください。